絶滅危惧種『ヒト』
「桜小路くん。すぐにこれを調べてくれ」


そろそろ帰宅しようとしていた直樹に向かって、教授の竹井が声をかける。


「はぁ……」


「病理から大至急で回ってきたんだ」


「病理から?」


「さっき外来に来てた患者さんが、急に嘔吐して亡くなったんだが……」


「はぁ」


「病理で解剖したら、消化器官が溶けてたらしい」


「は?」


「もしかしたら、新種のウイルスかもしれん。これはその患者の検体と吐しゃ物だ。大至急頼む」


教授に真顔で見つめられて、直樹はツバを飲み込んだ。


「今までにないウイルスの可能性が高いから、どうするかなぁ……」


教授はそう言いながら、すぐに着替えを始める。


直樹はとりあえず電子顕微鏡で見てみることにした。


「何だこれ……」


そこには、直樹が一度も見たことのない微生物がうごめいている。



「何かいるのか?」


「見たこともないのが……」


「代われ」


教授が覗き込む。


「何なんだコイツは……」


教授は驚いた顔で直樹を見た。

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