絶滅危惧種『ヒト』
「おう直樹」
井上は感染症学科にやってくると、直樹に向かって声をかけた。
「おお、達弘。オマエが来たのか」
直樹が微笑む。
「それでどういう状況なんだ?」
井上は手帳を取り出しながら質問をした。
「現時点で分かってることは、患者は小林孝明っていう38歳の男性で、南極観測隊員だったんだが、昨日日本に帰ってきてる」
井上は南極観測隊員という言葉で、さっきの聖人との話しを思い出した。
「ああそう言えば……さっき下で聖人に会ったぞ」
「えっ、何で聖人が?」
「ほら、例の氷の」
「あっ、じゃあヤッパリ聖人の彼女の叔父さんだったのか!」
「ああ、そうみたいだな」
達弘は頷いた。
「そうか……で、続きなんだが」
「ああ」
「今日の午後五時半頃、内科の外来を受診。その際に問診表を書いている。これがそのコピーだ」
聖人は先ほど内科の外来に行き、状況を確認していたのだ。
「しかし……内臓がドロドロに溶けてるんだろ?」
「ああ、俺は見てないけど、そうらしい」
「なのに病院まで来て、倒れる直前まで普通に問診表を書いてたなんて、痛みとかないのかな? それとも一瞬で内臓が溶けるのか……」
「それは……」
「もしくは、ウイルスが痛覚神経を麻痺させるとか、あるいはエンドルフィンを大量に発生させるとか……」
井上が腕組みをした。
「とりあえず緊急のカンファレンスがありますので、お願いします」
そこで竹井が口を挟んできた。
「分かりました」
それに対して、井上と一緒に来ていた林が返事をした。
井上は感染症学科にやってくると、直樹に向かって声をかけた。
「おお、達弘。オマエが来たのか」
直樹が微笑む。
「それでどういう状況なんだ?」
井上は手帳を取り出しながら質問をした。
「現時点で分かってることは、患者は小林孝明っていう38歳の男性で、南極観測隊員だったんだが、昨日日本に帰ってきてる」
井上は南極観測隊員という言葉で、さっきの聖人との話しを思い出した。
「ああそう言えば……さっき下で聖人に会ったぞ」
「えっ、何で聖人が?」
「ほら、例の氷の」
「あっ、じゃあヤッパリ聖人の彼女の叔父さんだったのか!」
「ああ、そうみたいだな」
達弘は頷いた。
「そうか……で、続きなんだが」
「ああ」
「今日の午後五時半頃、内科の外来を受診。その際に問診表を書いている。これがそのコピーだ」
聖人は先ほど内科の外来に行き、状況を確認していたのだ。
「しかし……内臓がドロドロに溶けてるんだろ?」
「ああ、俺は見てないけど、そうらしい」
「なのに病院まで来て、倒れる直前まで普通に問診表を書いてたなんて、痛みとかないのかな? それとも一瞬で内臓が溶けるのか……」
「それは……」
「もしくは、ウイルスが痛覚神経を麻痺させるとか、あるいはエンドルフィンを大量に発生させるとか……」
井上が腕組みをした。
「とりあえず緊急のカンファレンスがありますので、お願いします」
そこで竹井が口を挟んできた。
「分かりました」
それに対して、井上と一緒に来ていた林が返事をした。