絶滅危惧種『ヒト』
教授と厚生労働省の二人が部屋から出て行った後も、直樹は残ってウイルスの調査を始めることにした。


まず検体を複数のシャーレにとる。


まず最初に、ウイルスが活発に増殖する温度や、死滅する温度から調べることにした。


まだまだこの世界には、自分の……イヤ、人類の知らないウイルスや細菌が存在するのだ。


そのとき、ふと大昔のことを思い出した。


あれは確か……直樹が大学受験に合格した日のことだ。


尊敬していた父が言った言葉。



――人類は増えすぎたんじゃないだろうか……。


確かあの時、父はこうも言った。


――色々と支障を来たし始めた地球が、人類の数を減らそうとして手を打っている……。


――おそらくまだ見ぬ新しいウイルスが発見され、そしてそしてそれが人類の数を減らそうと猛威を奮うんじゃないかと……。


あの日のことが十年経った今も、鮮明に頭に呼び起こされる。

それほどまでに、あの日の父の話しは、父を尊敬して医学者を目指していた直樹にとって、ショックな内容だったのだ。


もしかしたら……


人類が増えすぎたことによって、地球温暖化が進み、南極の氷の中に地球が隠していた人類を滅ぼす為の最終兵器が、日の目を見ることになった……。


まさかな。


直樹は自分の想像を、首を振って否定した。

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