絶滅危惧種『ヒト』
「なぁ兄ちゃん」


「何だ?」


「梓の叔父さんなんだけど……」


「うん」


「何の病気なの?」


「え?」


「詳しくは教えてくれないけど、感染症研究所に搬送するって言われてさぁ……ってことは、なんらかの感染症で亡くなったってことだよな?」



「ああ、そうだ」


「ってことは、飛沫感染や接触感染をするなら、俺たちも伝染ってる可能性が高いよな?」


見つめてくる弟に対して、直樹はその目をジッと見つめただけで、返事はしなかった。


「何って病気なんだ?」


「分からない」


「え?」


「新種なんだ……。彼女の叔父さんは消化器官が溶けてたらしい」


「なっ……」


「新しいウイルスだ。おそらくは南極で太古の昔より、氷の中に眠っていたんじゃないかと思う」


直樹は、さっき思い出した父との会話や、自分の想像を聖人に喋った。


「父ちゃんがそんなことを言ってたのか」


「ああ、まぁでも、すぐにワクチンをが出来るだろうけどな」


「潜伏期間ってどれくらいなのかな? 俺たちも感染してる可能性があるから」


「そうだな……叔父さんがいつ感染したか次第だけど、二三日くらいかな?」


「それまでにワクチンって出来るの?」


聖人に見つめられて、直樹は言葉に詰まった。

< 83 / 223 >

この作品をシェア

pagetop