サンドリヨンは微笑まない
「網島の居ないとこでそんな話したら絶対今拗ねてるもん、あいつ」
「そんなことないよ」
拗ねるなんて、伊月さんが。
可愛いけれど、あたしに関してのこととは到底思えない。
「そんなことあるよ。だって、網島が同じクラスだって知ってから『今日も来なかった』って欠席中ずっと言ってたんだからな」
「そんなまさか」
「毎日言われたら俺にまで移ってさ、伊月も俺も網島が来るの結構心待ちにしていた、っていう裏話でした」
ちょうどバスが来る。
段差に踏み出して、あたし達は踏み込む。
嬉しくて、たまらない。