わがまま姫♀
今の今まで前を向いてた加藤(遥の苗字)が、やっとここで振り返る。
頼むから、もう少しだけ早く振り返れよ。
「なんでもないっ」
なんでもないことはない。
「ちょっと相手しただけ」
そう言って姫央は椅子に座り直し、前を向く。
「あ、相手にしたって、なにその…」
「もーいいだろ。席着けよ」
俺は、まだなにか言いそうな椎野の言葉を遮った。
というか、勝手に口が動いた。
コイツが…
姫央の顔が、あまりにも悔しそうだったから。
その顔はなんだよ。
なんでそんな顔すんだよ。
恋愛できないのが、そんなに悲しいのか…?
言っとくけどさ、俺も出来ないんだからな?
出来るとしたら、唯一お前とだけだ。
お前はまだ、知らないんだろうけど。