おかしな二人
あたしは、真鍮のドアノブをギュッと握り、ゆっくりと開けた。
あたしがドアを開けたことによって、夕方前の陽光が細く中へと差し込む。
「ごめんくださーい」
遠慮がちに声を掛けると、石畳の床を踏む音とともに三十代くらいの男性が現れた。
「いらっしゃい。あかりちゃん?」
「はい」
訳知り顔のその男性は、ドアに手をかけあたしを中へと促す。
「こっち」
「あ、はい」
ほんのり燈った、柔らかい色の間接照明とたくさんのお酒の匂い。
左手に六人ほどのバーカウンターと、右手にはテーブル席が四つ。
その間を抜けて行くと、ボトルが並んだお洒落な棚で簡単に区切られた広いソファ席があり、そこに凌の姿があった。