おかしな二人


無言のまま立ち去る岸谷さんの背中を目で追っていると、彼女、奈菜美さんが口を開く。

「あなたが、あかりさん、なのね」

奈菜美さんは、確認するように言葉を区切って話す。

それから、思ったとおりの人だわ、とさっきと同じように静かに呟き、優しく目を細めた。

「凌がずっと想っている人を、頭の中で思い描いていたの」

あたしは、なんて応えたらいいのかわからず、ただ奈菜美さんを見ていた。
けれど、その続きは語られなかった。

凌から別れを切り出されてから、奈菜美さんは、ずっと思い悩んでいたんだろう。
どんな人に凌をとられてしまうのか。
自分よりもどこが勝っている相手なのか。

きっとあたしを目の前にして、がっかりしたに違いない。



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