おかしな二人
英嗣は掴んでいた腕を解きくるりと向きを変えると、ソファの上の袋を手にして戻ってきた。
「確かに真剣に選んどったよ。大切な女にあげるためやからな。そりゃあ真剣にもなるわっ」
履き捨てるように言うと、その小袋を目の前に突き出してくる。
「な……に?」
「受け取れ!」
「……なに言って……」
「早く渡せ言うたやないか。ほれっ」
グイッともう一度小袋を目の前に突き出す。
あたしは、わけもわからずそれを手にする。
「大切な奴は、確かに居る。くだらん事ばかり毎日ほざいて、強気で、自分のことには大雑把で。やたら綺麗好きで、料理が上手くて。変に義理堅い、アホな女じゃ」
「……英嗣……」
「なんや知らんけど、そないなおかしな女が大切でしゃーないんやっ!」
言われている言葉をぼんやり聞いていたら、貸せ! と掴んでいた袋を奪い取られた。
袋の中から小箱を取り出すと、おもむろに蓋を開ける。