おかしな二人


「貰ったら嬉しいんやろ? こんな凄い物貰ったら、脅迫じみてて付き合わんわけにはいかんのやろっ?」

高級品だというのを理解しているはずなのに、乱暴にアクセサリーを取り出すと、チェーンをはずしあたしの首へと手を回す。

近づいた距離に、心が先に反応した。

トクトクと。
ドキドキと。

回した腕が、ゆっくりと離れて行く。
同時に、あたしの首元には、ハートのチャームがキラキラと揺れた。

「あたしに……?」
「他に誰が居るん?」

いつもと同じセリフで訊くと、いつもと同じセリフで返される。

「大切な人って……あたし……?」
「しつこいわ……」

照れたように俯く英嗣。
気がつけば、やっぱり涙は溢れ出ていて、もう顔はグチャグチャだ。

「汚ったないなぁ。洟、出てんで」

笑いながらそう言い、近くにあったティッシュで鼻をぎゅっとつままれた。

「洟なんか……でてないもん……」

ぐりぐりと鼻を摘ままれながら、涙はとめどくなく溢れ出て一向に止まらない。

「ぁあ。ほんまに、何でこないな泣き虫を好きになったんやろ。めんどくさい女やなぁ」

そう零しながらも、英嗣はあたしを優しく抱きしめてくれた――――。


< 515 / 546 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop