DL♥ロマンティックに抱きしめて。

慌てて身を乗り出す先生を見ると、その顔はりんごのように真っ赤に染まっている。


あ…。


初めて見たその表情に呆気に取られてしまう。
そんな先生を、ハハハと笑いながら目の前の重さんは言葉を続けた。



「だって、本当の事じゃないか。くみちゃんと離れそうになった日、電話が来てね。”大切な人を失うのが怖い”そう言ったんだ。あれは聞き間違いじゃないぞ~!」



な…っ!

ボッと顔から湯気でも出ていそうな感覚。
そんな私に更にハハハっと笑う重さんの声が大きく響いた。


…せ…せんせっ!?!


目を向ければ、口を開けたままで先程よりも真っ赤になる顔。
それが次第に俯く姿はまるでスローモーションのようだ。


まさかそんな事を話していたなんて…。


きっと今だに重さんと母が繋がりがあるとは気づきもしないで口にしたのだろうけど。


そ…そこまで思っててくれたなんて…。


嬉しいような恥ずかしいような言い表す事が出来ない感情に包まれ、途端に私までも俯いてしまう。


「…この野郎。」


そう小さく呟く先生の声がすぐ隣で聞こえた。







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