花火
 

焦る私を余所に、先生が私のまぶたにチュッとキスを落としてきた。



「!」



「……リンはそのままでいいから」



「えっ……?」



先生の腕に力がこもり、私の身体が先生の胸の中に抱き寄せられる。



「……リンが辛い時は、俺も一緒に受け止める。俺の前ではいい子でなんかいなくていい」



「──っ!」



先生が私の目の奥をじっと見つめる。


私はそれに吸い込まれそうだった。



「確かに頑張るのは悪くはないけど……無理はするな。これからは自分の気持ちには嘘なんかつかなくていい。もう、俺の前では強がるな」



「せんせ……」



「何があっても、俺が守るし。俺の傍に素直にいたらいい。……ずっと」



──俺が守る──ずっと。



「…………何それ……っ、プロポーズじゃないですか……っ」



ずっと誰かに言って欲しかった言葉かもしれない。


自分の心に素直でいていい、って。


先生がそれを言ってくれたことが嬉しくて、涙腺が崩壊してしまった。

 
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