花火
 

「頼まれていたプリントを集めてきました」



「Oh! Thank you!」



「……いえ」



辞書を取ろうと横を向いた時だった。


……リンの笑顔が見えたのは。


それは、作り物ではない、俺が知る、心を許したような笑顔。


……え、何?


確かに最近、学校でたまに見るリンは前よりも尖っている雰囲気はなく、いい意味で少し気を抜いているような気はしていた。


……俺と付き合うようになってからかな、なんて自惚れていたりもしていたんだけど。


別に、レノンだからとかそんなんじゃねぇよな……?


……うん、リンに限ってそれはないと……思う。


俺が知ってるリンは、裏切るような女じゃない。


そう自分の中で納得して、俺は仕事に戻った。







その数日後のことだった。


事件が起こったのは。

 
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