花火
*+.。.+*.。.
生ぬるい風が俺に触れていく。
図書館からの帰り、1階の渡り廊下を歩いていた。
9月中旬になってもこの暑さ。
地球、壊れちゃってんじゃねぇの?
「……リン。やっと」
「!ちょ、レノン、ここ学校だから!ていうか、呼び出すなんて反則だよっ」
「……。」
こそこそと話す声を、俺の耳が捕らえる。
……ん?気のせいか?
今、リンの声が──。
「誰も通らないよ。こんな場所」
「そう、だけど。別にこんなところじゃなくても」
「いや、何か燃えない?家と違ってさ」
「意味わかんないっ。もう……変わらないね、レノンは」
「リンを愛する気持ちも、そのままだよ?」
やっぱり、リン……?
一気に襲いかかってくる不安。
「……ほんと、相変わらずなんだから。……でも」
「うん」
「レノンが帰ってきてくれて嬉しいのは、私もだから」
「あーもう、リン、前よりかわいくなってる!たまらないな!」
「きゃ……っ!ちょ、レノンっ」
……どう聞いても、どう考えても、恋人同士の会話に、完全に俺の思考は停止していた。
ただ、その会話が耳に入ってきて、俺を支配する。