花火
 

*+.。.+*.。.


……この状態ではリンに会えないと思った。


付き合い始めてから初めて、週末、リンとのデートを断った。


本当は会って問い質したい。


レノンとはどんな関係なんだ、って。


俺のことはどう思っているんだ、って。


……でも、“リンと別れたくない”と思ってしまう俺の心が、それを拒む。


虚しいだけとはわかってるけど、俺が黙っていれば、きっと今のまま、リンは俺の傍にいてくれる。


でも、聞いてしまえば──


初めて襲う不安に、頭を抱えてしまった。


今までの恋愛がすごく軽いものに感じる。


……いや、軽く考えてたのは間違いなくて。


何となく好きだし、束縛されるわけでもないし、いろんな面で満たされるし、恋愛なんて簡単でこんなものかって。


別れの日が来ても、「あぁ、別に構わないから別れよう」って、すごく簡単だった。


……満たされてなんかいなかったことは、リンと出逢ってから気付かされたけど。

 
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