花火
 

「良かったですよ!田辺先生、レノン先生!」



「あ、ありがとうございます」



「光栄です」



いつもは冷静な田仲先生が興奮気味にそんな言葉を言ってきて、俺は少し戸惑ってしまった。


レノンはにっこりと笑顔で応えていたけど。


田仲先生も俺と同じ国語の教師で、「私もやってみたいなぁ」なんて言っていて、つい言葉に詰まってしまった。


この合同授業の話をレノンと初めてした時に「お堅い授業は勘弁」って言ってたのを思い出したせいだ。


なのに、「是非、田仲先生も」とニコニコ笑顔で相槌を打つレノンは見事だなと思った。


思うことはあっても、目指すものを与えてくれたレノンには感謝だ。


この授業をして、すぐには変われなくても、少しずつでいいから、仕事にも生徒にも自分にも向き合っていこうと思えたから。


これからもレノンと仕事をするのが楽しみだ、と心から思った。






そして。


俺は、前に進む。


仕事に関しても、恋愛に関しても。

 
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