花火
03
*+.。.+*.。.
その日は朝から落ち着かなかった。
たったの一人に、たったの一言を言うだけなのに。
何十人もの前で授業をしたというのに、一人の女のことになっただけで、この様。
……一言言ってしまえば、もう、終わりだ。
「まさか授業、受けてるとはね」
「だって……おもしろそうだったから」
少し照れ臭そうにリンが答える。
「……受けちゃダメ、でしたか?」
「まさか。嬉しかったよ。で、どうだった?期待には応えられてた?」
「……」
「ん?リン?」
感想を投げ掛けただけなのに、リンは俯いてしまった。
え、もしかして、お気に召さなかったとか?
マジか……もう、リンに授業することもないのに、最初で最後の授業が駄目だったとか。
何もかもが全然駄目じゃん、俺。
少し……、いや、かなり落ち込みそうになった時。
「……った」
「え?」