花火
「……そうですよね。それなら、いいです。先生と一緒にいれるなら、授業受けられなくても我慢できます」
「……うん」
ふふ、と笑って、リンは涙を拭う。
その涙は嘘だとは思えなかった。
そして、その言葉も。
今から俺が言おうとしている言葉は正解なのか?と思うほどに。
「あの教材って、先生が初めて私に勧めてくれた本の一節ですよね?」
「あ、バレてた?」
「当たり前です!資料を見た時、すごく嬉しかったんです。あの本は……大切な本だし。先生と私を繋いでくれたものだから」
「……うん。そうだな」
ますますリンのことがわからなくなってくる。
何で、そんなにも俺のことを想ってくれているような言葉を言ってくれるんだ?
レノンとのことは、夢だった、とか?
……いや、そんなことないよな。
しっかりこの耳で聞いたし。
……リンがハンパない演技力の持ち主だとか。
女優を目指してるとか?
……何か思考が変な方向に向かってる気がする。