花火
 

「……先生?」



「あ、何?」



ボーッとリンのことを見つめたまま黙ってしまった俺を不思議に思ったのか、リンが顔を覗き込んできた。



「やっぱり、疲れてますか?」



「あ、ううん。大丈夫」



「……ほんとに?」



「うん。リンは何も心配しなくていいから」



「……」



な?、と言ってリンの頭を撫でるけど、いつもと違ってリンの表情は曇ったままだ。


あれ?と思った時、思わぬことが起きた。



「!」



リンの腕が俺の首に巻き付いてきて、リンの唇が俺のそれに合わさる。


滅多にない……というか、初めてリンに触れた時以来のことで、何が何だかわからなかった。


……え?意味わかんねぇ……


どうしたんだ?


唇が離れた時、リンの目からぽろぽろと涙が溢れだした。



「……私も……っ、先生を支えたいです……っ」



「!」



「私には隠し事、しないで!」



「!!」



隠し事、って?


リンの言葉の意味がわからない。


それを言うなら、リンの方だろ?

 
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