花火
 

目の前のレノンが、まるでご主人様に餌を貰えるのを待つ犬のように、私のことをキラキラとした目で見つめてくる。


う、何かそんなに期待されると、聞きづらい……!



「リンっ、何、何っ?」



「……いや、大したことじゃないんだけど……、レノンにとって高校生って子供?」



「?」



「や、何となく、気になって」



「僕は子供とは思ってないよ。うちの高校の先生はみんな同じなんじゃないかな。あ、特に田辺先生はしっかり生徒を一人の人間として見てるよね。他の先生に比べて、生徒と歳が近いのもあるかもしれないけど」



「!」



いきなり先生の名前が出てきてビックリした。


ていうか、何か、仲いい?


職員室でも隣の席だし。


ちょっと聞いてみたくなった。



「……レノンって、田辺先生と仲いいの?合同授業も一緒にしてたし」



「ん?あぁ、話が合うんだ。田辺先生って。何か同じ匂いがする、っていうか。考え方は似てると思うよ」



「……そうなんだ……」



先生事情はわからないけど、先生とレノンが仲がいいのは、何か嬉しかった。

 
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