花火
「でも」
「?」
「一緒にいて心から安心できる人間ってのは殆どできなかった。確かに高校の頃よりかは遥かに楽しいとは思えてたけど、友達は基本バカ言って笑うだけだし、彼女を作ってもどこか冷めた俺がいて、本気でぶつかったこともないし。結局……本気で好きじゃなかったんだよな」
「……」
「ずっと、居場所なんてなかった」
「!」
にっと先生は笑うけど、どこか寂しげだ。
「だから、タバコだってやめれなかったし」
「タバコが心の拠り所って……?」
「寂しい人間だよな」
先生はずっと心にぽっかりと穴が空いたままだったってこと?
それをタバコを吸うことで埋めて?
そんなの……寂しいよ。
じわりと涙が溢れてくる。
あの花火の日もそうだったのかな……。
……今はどうなのかな?、と思ったけど、聞く勇気は出なかった。
だって、今も居場所なんてない、って言われたら……。