花火
「……あ、そうだな」
「え?」
「もっと近付けるんじゃないかなと思うことがあるんだけど。それはリン次第だけど」
「?」
「名前、呼んで欲しい」
「!」
名前を……?
「……二人の時は……先生って呼ばれたくない」
「!!」
先生が私の身体を離す。
先生の指がすっと私の頬に流れる涙を拭った。
「……リン」
「は、はい」
「俺のこと、名前で呼んで?」
「っ!」
真っ直ぐと見つめてくる先生の瞳から逃げることなんてできなくて、私もただ見つめることしかできない。
でも、私の頭の中は大パニックで。
私も先生の名前を呼びたいと思っていたとは言え、いざ呼ぶとなると何か恥ずかしいって言うか、何て言うか……!