漏れ言〈詩集〉
ああ、憶えてる。憶えて、いる。

ごった返した空港で

雀の五月蝿い教室で

憶えてる。憶えて、いる。

毒々と胃が波打つ感覚と

釘が刺さったように頭痛

痙攣する身体に、冷えてく首筋


独りきり、ポーカーフェイス

バレるな

泣くな

悲しみに気づいてはいけない

耳鳴り 痙攣 自己嫌悪 憐憫


ああ、憶えてる。憶えて、いる。

私の歪んだ眉間に寄り添った君

同時に憶えてる。

忘れたい醜い嗤い声

忘れたい。

この醜い感情を

憶えていたい。

頬を寄せてくれた君の純粋を

それでも、憶えている。

それでも、忘れそうになる。


せめぎ合う、ふたつのココロを


no.9 ふたつのココロ
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