【完】ヴァンパイアとチョコレート
「俺はヴァンパイアのキングと人間の間に生まれた子供だ。オヤジがキングで母さんが人間」

「それって……王子様ってこと……?」

恐る恐るミーナは聞いた。

「そうだよ!ご主人が次期キングになるんだ」

(次期キング……)

なんだかとてつもなく現実離れした話だ。

しゃべる猫にヴァンパイア、そしてその王子様ーー。

正直、話についていけない。

「ルネ、俺はキングにはならない」

ライルはそれに苦笑して言った。

「え~どうしてさ?だってご主人はハーフだけど潜在能力も高いし、僕たちのような弱い者にも優しいじゃないか!」

「それは……。ほら、お前がそんな言うからミーナが固まってる」

ライルは滑らかなルネの背中を一撫でしてミーナに向き直る。

「確かに俺はキングの血をひいてるが、ほとんど人間と変わらない。ただ……」

「ただ……?」

「昼間はあまり動けないのと、血の匂いに弱いだけで……」

ライルはわずかに眉を寄せた。



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