【完】ヴァンパイアとチョコレート
「昨日、家庭科室でお前は少し血を出しただろう?あの時は理性が効かずにに思わずお前の血を舐めてしまったが、それで気づいた。お前は遠からずヴァンパイアに狙わる存在なんだと」

ミーナはどまどったようにライルを見た。

「それって……どういう意味?」

「俺は魔界での生活に嫌気がさして人間界にやってきたんだが、ヴァンパイアの中には暇つぶしにこっちに遊びに来る奴がいるんだ。」

「こっちはいいところだよね。人間は優しくて時々おやつをくれたりするんだよ」

ルネは尻尾を振って言う。

「魔界では力が全てなんだ。俺はそういうのは好きじゃない」

ライルはぽつりとつぶやいて、真剣な顔をして言う。

「お前の血はとても甘い」

ライルはテーブルに置かれたチョコレートやクッキーを見ながら言う。

「……お前ははヴァンパイアにとってチョコレートみたいなものなんだ」

「チョコレート……?」

(言っていることがよく分からない)

「俺たちヴァンパイアは今は人間の血は飲まない。だけどお前の様な特別甘い血を持った人間は別だ」

ライルは皿からチョコレートと一つとって言う。

「人間が甘いお菓子を食べる様に、ヴァンパイアもまた甘い血を好む」

ミーナはライルの手にあるチョコレートと見ながらぽつりと言った。

「じゃあ……私は……血を吸われてしまうの?」



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