その衝動の果て…【完】

そして、引き離される…

「ほのか。愛して…」

次の瞬間僕の体は宙に浮き、カノジョから弾き飛ばされた。

びっくりして顔を上げると、僕の目の前にいるはずのないオヤジがいる…

オヤジはひるんだ僕の胸ぐらを掴み、ねじり上げた。

「お前は何者なんだ!!」

そう叫んで僕を1発殴った。渾身の一撃。年寄りだと思っていたのに…

僕はその場に再び沈み込んだ。


その後涙を流しながら、立ち尽くして身体を震わせるオヤジ。

その脇には静かにソファーで眠ったカノジョ。


震えたまま、ちらっとカノジョに視線を向けたオヤジが、次に僕の方を向いたとき

「出ていけ!!!」

低く威嚇するその声。今まで見たことも聞いたことのないオヤジ…

「オヤジ…」

「すぐに出ていけ!!」

そう言われても僕はその場を動けなかった。

それを察したのかオヤジは僕の服の首元を掴み、

引きずりながらその部屋から追い出した。


僕は何が起きたのかわからず、足が立たないまま放心状態でうずくまっていた。

しばらくして、目の前のドアが開いた。びっくりして飛び退くと、二人が出てきた。

オヤジはまっすぐ前を見て僕の方を見ようとはしなかった。

そのオヤジに抱かれたカノジョは乱れた着衣を元に戻され、

何事もなかったように静かに眠っていた。
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