恋はとなりに
夜ごはんを食べて、さくらのことが気になって気になって
庭に出てさくらの部屋の窓を見たりしたけど、
明かりがついていない。
悲しませた。
笑わせたいのに。
なんでうまくいかないんだ!!
さくらの家に思いきって行ってみた。
「あら、コウタ君、さくら?今お風呂に入ってるのよ~。テレビでも見ながら待ってて。」
おばさんに言われたので、リビングのソファに座って待つことにした。
野球中継をおじさんと観ていた。
観ていたけど、内容が入ってこなかった。
さくらの悲しそうな顔がちらついて、会ってくれるか不安だった。
お風呂はリビングを出て廊下の先にある。
さくらはリビングを通らず、部屋に戻った。
「おい、さくら、出たんじゃないか?」
おじさんがおばさんに向けて言った。
「あら、そう?コウタくん見てきていいわよ。」
「はい。」
おれはゆっくりさくらの部屋に向かった。
部屋をノックする。
「さくら、俺。」
さくらは驚いたようにドアを開けた。
「どうしたの?こんな時間に。」
髪からシャンプーの香りがすごいしてきた。
普段は色気がないと思っていたけど、風呂上りはちょっとそれなりに色っぽいな・・・と感心していると、さくらは部屋に入れてくれた。
「あたし、すぐ怒鳴る人嫌いだから。」
と先制攻撃をしてきた、さくら。
「もうしません。ごめん。ほんとうにごめん。」
俺は平謝り。
「へー意外と素直だねコウタ。今回は許す。」
髪をタオルで拭きながらさくらは言った。
パジャマを着ている。パジャマ姿は前にも見てるから見慣れたものだ。
さくらは窓の外を見ている。
「カケルくんまだ帰ってきてないんだね。」
カケルの車をチェックしていたのだ。
「うん。まだ。デートでもしてるんじゃないかな。」
「え?」
俺の言葉に過敏に反応するさくら。
「また彼女いるの?」
「アニキモテるから。」
「そうだよね~かっこいいもんね~。彼女ってこの前と別の人?」
「さあ。そういう話しないから。詳しくは・・・。」
「コウタ、立ってないで、座ったら?」
「いや、もう帰るよ、遅いし。一応女の子だし。あんまり二人きりでいるのもよくないからね。」
俺はそういうと出て行った。
なんだか中途半端な関係の自分が情けなく感じた。
友達でもない、恋人でもない……。
ため息が出る。
とりあえず仲直りできてよかった。