いつも同じ空の下で


次の日、ヨシキの家に向かう事にした



久しぶりに自分の部屋から出た私

足が鉛の様に重かった





「おはよう」




リビングに下りてきた私に、お母さんが優しく微笑む


その笑顔が少し痩せた様な気がする

きっと私がご飯を食べないからだろう

そうと分かっているのに、体が食べ物を受け付けない




ヨシキの家に行ってくると両親に告げた




「そう」




そう言って、少し悲しい顔をする両親




「送って行こうか?」



お父さんの優しさにも私は首を横に振った

今は1人になりたかった





重たい扉を開けて外に出る


扉を開けた瞬間、一瞬玄関で待つヨシキの姿が見えて足を止めた

真っ黒なコートに赤色のマフラーをしてニッコリ笑うヨシキ





「ジュリ?」




急に立ち止まった私を心配するお母さんの声が後ろから聞こえる

その声を背に、私は目をギュッと閉じて足を進めた





空は快晴

私の心とは正反対の天気に、なんだか自分だけこの世界から切り離された様な気分になる



きっと私だけ時間が止まっているのだろう

あの日から―――




トボトボと道を歩く



いつもと変わらない道

一緒に話した公園

待ち合わせした駅

サンドイッチを買ったカフェ



なにも変わらない世界に、すっぽりとヨシキだけが抜け落ちていた




胸が引き裂かれそうだった



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