不滅の妖怪を御存じ?
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次の日。
授業終了を告げるチャイムと同時に藍は竹内蛍に捕まった。
「裏山行こうぜ!」
「やだ。」
「えー行こうぜ。」
授業も聞かずに堂々とヘッドホンで自ら録音した宇宙天気予報を聞いていた竹内蛍。
もう無駄だと分かっているのか、先生たちも注意はしない。
ヘッドホンから微かに竹内蛍の声が漏れている。
『本日、フレアがやや活発。太陽風は速度、南向き磁場ともに静かです。』
藍にはさっぱり分からない内容が流れている。
宇宙オタクの竹内蛍はやることなすことが浮世離れしていた。
今だって、変人だと皆から敬遠される藍と一緒に裏山に行きたいとねだっている。
「竹内くんは何がしたいわけ?」
「望遠鏡を設置したいんだよ。付いてきてくれるだけでいいから、な!?」
あまりのしつこさに藍は渋々頷いてしまった。
ニッと笑った竹内蛍の歯並びは良く、見た目だけで判断すれば運動部に見えるな、と思った。
ちなみに竹内蛍が藍に来てほしいと言った裏山とは、竹内家が所有する山だ。
「一応この山は俺に譲るつもりらしい。好きに使っていいって言われてるんだ。」
以前聞いた竹内蛍のそんなお坊っちゃま発言。
なんだか腹が立ってその時は思いっきり足を蹴ってやった。