不滅の妖怪を御存じ?
「小屋?」
木々の間に、肩身が狭そうに小屋がちょこんとあった。
人が一人なんとか押しこめるくらいの小さな木製の小屋。
とても古そうだが、不思議とその小屋にツタ系の植物が絡みついていない。
使われている木も古く、今にも壊れてしまいそうなのに、なぜかガッシリとした印象を受ける。
つまり、この小屋はどこか異質だった。
こんな鬱蒼とした山奥に、木札とお手洗いの看板と小屋。
変だ。
藍はじっと小屋を見つめる。
この小屋は何のために建てられたのか。
吸い込まれるように藍は小屋に近づいていった。
パキリ、とまた何か踏んだ。
木札だろうか。
近づいてはいけない。
そう呼びかけられたような気がした。
そんな直感も無視して、藍は手を伸ばす。
古い木の板は、触れた瞬間ボロボロと崩れていった。
一体何年ここで誰にも知られずに佇んでいたのだろう。
期待と不安。
ゴクリと唾を飲む。
未知のもの、何があるのか分からない。
緊張はあるが、それ以上にドキドキしていた。
そして、思い切って藍はボロボロの木の板を引いた。
ガコンッと板が外れる音。
小屋の暗闇にいたのは、二つの光。
ガリガリに痩せこけた男の子が、体育座りをして藍のことをじっと見つめていた。