不滅の妖怪を御存じ?
⌘
どうする。
どうすればいい。
有明は川の流れに身を任せながらぐるぐると考えを巡らせていた。
川や海など水が豊富な場所は竜宮一族のテリトリーだから九木の妖力の侵食はない。
しかし、乙姫が九木の味方になっている可能性は十分にある。
昨日の九木の妖力の爆発を感じたら、どんな妖怪だって九木側につくだろう。
実質天狗達と竜宮一族が九木側についたら、妖怪対人間の構図が完成だ。
「嵐が来よる……嵐が来よる……」
しわがれた声に顔を上げれば、川面から小さな二つの目が有明を見つめていた。
川赤子だ。
有明と同じように川に流され行けるところまで逃げるつもりなのか。
生きていたのか、と有明は思った。
しっとりと黒い髪は水流で顔にへばりつきその顔は見えない。
「嵐なんてもんじゃねえだろ。九木が本気で暴れんだぞ」
有明はケッと視線を逸らしながらそう呟いた。
下手したら有明や川赤子のような低級の妖怪は九木の妖力で人間と共に消されてしまうかもしれない。
だから今のうちに戦火からできるだけ離れなければいけない。
それなのに、この目の前の赤子はムカつくほどにのんびりしている。
まるで気分転換をしているかのように水流に流されプカプカと浮かんでいる。