不滅の妖怪を御存じ?





「我は九木殿の友となった……お主はならぬのか」


プカプカと浮き沈みを繰り返す川赤子。
なるほど九木側だからこんなにのんびりと川に流されているのか。

楽観的にも程がある、と有明は心の中で川赤子を侮辱した。
九木がこんな小さな妖力しか持たない妖怪のことを気にかけるとでも思っているのか。

人間を滅ぼすという大義の下に俺たち他の妖怪のことなんて欠片も気にせず捨てるだろうに。


「お主も妖怪の端くれであろう。竜宮一族も、九木への同盟を申し込んだのだぞ……」


乙姫もすでに九木側についていたのか。
予想以上に事態は進んでいたことに有明は口を引きしめる。


「俺は別に。つーか、俺が入ろうが入るまいが大して変わんねーだろ」

「ならば入るがよい。妖怪同士は、同じ場所にいた方が都合が良い。九木殿も誤って同族を殺すのは良しとしないだろう」

「九木はんなこと気にしねえよ。そーゆーのに俺は混ざらない。ほっとけよ。俺は勝手に逃げるから」


有明はぐっと水をかき川赤子より先に行こうとする。

けれど川赤子も何を思ったか有明についてくる。
ピッタリと顔に張り付いた髪の隙間から、じっと有明の様子を見つめる目。


「理由があるのか」

「はぁ?」

「お主が妖怪側につかぬ理由が」


有明は一瞬口を閉じる。


「ねぇよ、そんなの」

「ならば、何故。人間と妖怪とが二極化した今この時に、敢えて中立を選ぶ」


中立。
なるほど。
他者から見たら有明はそう見えるのか。
有明としては自分だけ騒動に巻き込まれないように上手いこと切り抜けようとしただけだったのだが。





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