不滅の妖怪を御存じ?








鬼道学園入学試験の試験官をしている石上桜は試験開始5分で早くも手伝いを引き受けたことを後悔していた。

元々この試験の制度自体気に食わないのだ。

由緒ある高貴な家柄の子どもは試験など受けなくても鬼道学園に入学できる。
しかし、その高貴な家系の本家から外れ一般人との血の交わりを繰り返した子供は試験で適性を見られる。
そこで本家の血が薄くなっていると判断された子は落ちる。

桜はテスト会場をゆっくり移動しながらため息をついた。

桜は伊勢千秋ほどではないがそれに次ぐくらいの地位の家系なので試験はなかった。
しかし、家系で個人の価値や能力が決まるとは思えないのだ。


「残り十五分。」


試験官のパリッとした声が響く。
あのおばさんの声俺苦手なんだよな、と桜は思いながら足を進める。

そこでふと、歩みを止める。

六歳くらいの小さい子たちのなかで一人だけ大きい存在がすぐ横に座っている。
有田藍だ。
やって来た初日から爆弾発言をかました奴だ。

桜は藍の横に座りこむ。
試験官なのだから答案用紙を見てもいいだろう。
興味本位で桜はそう思いほくそ笑んだ。

妖怪が見える発言をしたせいで藍のことを敵として見る者も大勢いるが、桜は別にどちらでもなかった。
妖怪が見えようが見えまいが、伊勢千秋に嫌われた時点で彼女は鬼道学園ではかなり生きづらいだろう。
佳那子は彼女の妖怪が見える発言を信じて期待しているようだが。

どっちにしても俺には関係ない。

桜はそう思い、今学園で良くも悪くも注目を集めている人物の答案を見た。




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