anjel
「笑って、幸望」
あの、大好きな声が聞こえた。
ううん。
正確には、そんな気がしたんだけど。
だって、ここにいるはずがないもん。
先輩は、今、講義を受けてる最中なはず。
だから、ここにいるはずがない。
そう思ってたのに。
「俺の前では笑っててって、言ったじゃん」
大きくてあたたかい手が、私の頭の上にのる。
この手、知ってる。
だって、私、この手でたくさん頭なでてもらったもん。
俯いていた顔を、ゆっくりあげると。
「久しぶり、幸望ちゃん」
みっくん先輩の優しい笑顔が視界に広がる。
「どう、して……?」
どうして、ここに先輩がいるの……?
「その前に、はやく涙ひっこめる」
いつかしたように、私の目にたまっている涙を
指ですくうみっくん先輩。
驚きと、会えた嬉しさで、いつの間にか涙が引っ込んでいた。
「幸望ちゃん甚平似合うね」
「あ、ありがとうございます」
「そうだ、写真撮ろっか!
亮二、ちょっと撮って」
「はいはーい!」