anjel








次の日。


「…見送りなんて珍しいな」


「私も一緒に行こうと思って」


塾に行く翔輝の後に続いて、玄関を出る。


「後ろ乗る?」


翔輝の誘いに勢い良く首を横に振る。


しばらく乗ってないから怖さ倍増だし、


翔輝の塾とライブハウスは反対方向だから…


「逃げるなよ?」


「…うん。分かってるよ」


私はそう言って歩き出した。


いつも歩いているペースより、遅い。


足が重たくて、動かないんだ。


先輩たち怒ってるかな…


勝手に帰っちゃったし、そこは怒るよね…


でも、ちゃんと話聞いて、言いたいことは伝えるんだ。


「…よし。」


重い足を無理矢理動かす。


交差点で信号待ちをしているときに、


昨日から携帯を見ていないことに気がついた。


慌てて電源を入れると、3通のメールが届いていた。


3通とも昨日届いたメールで、


先輩たちから。


1通目は、亮くん。


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From▷亮くん

幸望りんごめん!
明日ちゃんと話すからね
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2通目は、奏ちゃん。


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From▷奏ちゃん

幸望ちゃんのこと、
仲間はずれにしようと思って
話さなかったわけじゃないからな?
明日ちゃんと話すな
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最後は、翔。


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From▷翔

言い過ぎた。悪い
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…よかった。


今日、話してくれるんだ……


メールを読んだら途端に足が軽くなって、


いつものペースで歩き始める。


どんな話なんだろ。


バンドのこと?


メンバーのこと?


…早く聞きたい。










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