君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
彩が、貸したワンピースを返してきた。
「助かった、ありがと。クリーニングしてあるからね」
「いくらで売ろうか、考えてたのに」
「もう、いい…」
くっ、と下唇を噛む。
「こないだそれ着て出社したら『大塚が縮んだかと思った』って…」
新庄さんか…。
悔し涙まで流しそうな彩に、思わず笑ってしまう。
新庄さんは、実に彼らしいやりかたで、彩の負債を「チャラに」したのだ。
彩は、元気になった。
だけど、大森さんと暮らしてはいない。
「待っててもらってるの」
どことなくほっとしたように、少しだけ申し訳なさそうに、そう言う。
「もう少し待ってほしいって、なかなか言えなくて。でも言ったら、あっさりいいよって」
そっちは? と訊かれて返答に詰まった。
正直に話したら、たぶん彩は「ざまあ見ろ新庄」くらい、言うだろう。