君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
「字は?」
「違う。絵画の里で『絵里』」
新庄さんは、煙草を一度灰皿に置くと、身体をずらして、私の横へ寝そべった。
私も横になって、毛布を引っぱりあげる。
妹と同じ…。
それじゃ確かに、私を名前で呼ぶ気にはならないだろう。
縁があるんだか、ないんだか。
無念さに、ため息が出る。
「大塚は? 末っ子って感じも、上って感じも、しないけど」
「当たりです、真ん中。2個上の兄と、妹がいて」
うつぶせて、ほおづえをつきながら、新庄さんが再び煙草をくわえる。
妹、いくつ、と訊かれ、たぶんショックを受けますよ…と断ってから、教えた。
「8つ下なんです、だから…」
新庄さんの、ひと回り、下。
新庄さんは、しばらく黙って。
「…確かにショックだが」
ショックを受けると思われていたことのほうが、ショックだ。
そう、つぶやいた。