.゚*Milky Way*゚.
「…夕芽さん、もしかして傘持ってないの?」

「うん…これからバイトだから、もう行かなきゃなんだけどね。少しでも弱まってくれるの期待して待ってみたんだけど…全然ダメみたい」

またまた苦笑いで返事をする私。


すると、

「良かったら、この傘使って」

手に持っていた傘を、笑顔で差し出す叶斗くん。そんな叶斗くんの行動に、驚き戸惑ってしまう。


「…それはダメだよ!そしたら叶斗くんが濡れちゃう」

「大丈夫。気にせず使って」

「でも…」

叶斗くんの優しさは凄く嬉しい。
だけど…これは受け取れないよ。


「僕もこれからバイトだから、もう行かないと…お互い頑張ろうね」

そう言うと、有無を言わさず私の手に傘を持たせ、叶斗くんはそのまま雨の中に飛び出していってしまった。


「えっ!…ちょっと待って叶斗くん!!」

私の声に、ぱっと振り向き笑顔で手を振ると、またすぐ背を向け走り出す叶斗くん。

そして、あっという間に姿が見えなくなってしまった。


あまりにも一瞬の出来事に、呆然としてしまう。
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