透明な君


袋を茎と葉だけの植物の上にもっていき、
斜めに傾けた。


中から
黄色っぽい粉がサラサラとこぼれていく。


甘い香りがする。


「それ…」


「そう。金木犀と銀木犀の花粉」


オレンジと白が混ざって黄色っぽい色になってるんだ…。



「ほら、見て」


促されるままに
再び下を見た。



すると
見えなかったものに
粉が被さり、
形ある見えるものになっていた。



黄色い粉でまぶされた透明だった花は…


「タンポポ…?」


「そう。タンポポ…」


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