透明な君
「…泣いてたの?」
どきっとした。
誰にも気づかれないようにわざわざ四階で
泣いたのに…。
慌てた。
「そっそんなことない。」
優しい目でヒトミちゃんが僕の目を覗く。
「ウソ。目が赤い。」
「カユくて擦っただけだよ…っ」
なんで?
何もかも見透かされてるような感じ…。
激しい動揺が目を泳がせる。
「ウソはダメ。ウソを重ねることで人は壊れていくの。自分では取り繕ってるつもりでも、必ず壊れていくの」
「ウソなんか…っ」
「ついてるだろ」
え?
第三者の声が聞こえた。