透明な君
「っるせぇっ!!!」


近くにあった机を思いっきり横へ蹴飛ばした


ガターンッ!!
と 盛大に物と物がぶつかりあう音が…僕の感情に火をつける…。


「11年一緒だったからってなんだってんだよっ!?何でも知ってる?」

ハッ!と
笑って…


「自惚れてんじゃねえっ!!何がわかるっ!?何に共感してるっつんだよっ!サツキが死んだことかよっ!?」


狂ったように机と椅子をなぎ倒し振り回し
窓が割れた。


「その時は悲しいだろうよっ!でもしょせん忘れてくんだよっ!!乗り越えたとかほざいてっ!思い出で満足するようになるんだっ!!!」


お前も…僕も…


「乗り越えたんじゃねえっ!!慣れちまうんだよっ!マヒすんだよっ!当たり前が当たり前じゃなくなったことに…っ」


きれいごとがびっしり書いてある
国語の教科書が憎くて
ビリビリに破き、
手元の物を
子供のようにサトルに投げつけた。

ぶつかる音や
血なんて気にしなかった。



「そうならないために、毎日泣いて何が悪い?
鮮明に覚え続けて何が悪いっ!?」

壁や床を
自己主張するように大きく鳴らす…


「サツキがいなくて当たり前になっちまうんだよおっ!」


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