透明な君


「ハルキがキレて俺を殴ったんです」


ぷいと僕から顔を逸らして被害者ぶった。



コイツは…
僕のことも殴ったくせに…。


でも冷静になったら僕が悪いんだ…。
全部…。



「そうです。僕が感情を抑えきれなくてサトルを殴りました。立てなくなればいいと思うほど殴り続けました」


キッパリと言った僕にサトルは青い顔を向けた。

「おま…お前、そんなこと思ってたのかよ?」


無意識にだろうか。
僕につけられた傷をゆっくりと上下にさすっているサトル。


今度は僕がぷいとそっぽを向く。


まるで小学生…。


お互いまだ怒ってるわけじゃない。
意地になってるだけ。

喧嘩後の男のプライドってやつ…?


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