透明な君
「俺は殴り合いの喧嘩なんてするほど熱中するものなんてなかったからなぁ。偉そうなこと言えないんだがな」
「…いいんです。先生…サトルは悪くありません。帰してやってください。そして僕を怒鳴ってください。罵ってください。教室の修理代やみんなの教科書代は僕がもちます。少しなら貯金あるので……いってっ!!」
そこまで言ったところで
サトルに
僕の顔に貼ってあるでっかいガーゼの上をぺちっと刺激され
慌ててそこを慎重に押さえる。
「っつ~…何するんだよっ!?」
涙目でサトルを睨みつけた。
「ばーかっ!!喧嘩両成敗だろっ!お前が悪くたって連帯責任なんだよっ!なんでお前はそういつも生真面目なんだよっ」
「だって…僕が全部悪いんだし…」
小声でブツブツ言った。
「挑発したのは俺だ。お前の止めろを無視したんだ。俺も1/10くらいは悪かった」
サトルの意地っ張りな優しさに笑ってしまう。