やっぱり愛おしい
人間は聞きたくないことを聞かされ、見たくないモノを見せられる。
何でも思い通りにはならない。
そんな当たり前のことに改めて気づかされた。
それはある日の昼休みに、私は麻ちゃんと柴田さん、そして柴田さんと同じ営業部の井上さんの四人で、いつもの喫茶店でランチした時のことだった。
井上さんは以前告白されてお断りした時に、一時期は気まずかったけど、今は普通に接してもらえようになったから良かったと思っていたのに、井上さんの中ではまだ割り切れてなかったのかもしれなかった。
食事のさなかに井上さんは
「なあ田村、お前が好きな男性って、藤堂部長なのか?」
と、チラリと私を見ながら聞いてきた。
「えっ!?」
私は思わずその質問に固まってしまった。
麻ちゃんと、多分麻ちゃんから話を聞いてるであろう柴田さんも、井上さんの突然の質問に驚いた顔をしていた。