【完】キセキ~君に恋した時間~
「黙ってれば清楚でおしとやかそうな女
の子なのにな……」
「聞こえてますけど?」
え、マジで?
心の中で呟いたつもりだったのに、まさ
か口に出していたとは……。
おかげさまで、俺の腕にはくっきりと、
つねられた痕が残ってしまった。
……めっちゃ痛いし。
やがて電車に揺すられること一時間。
新宿の駅に降り立った時点で、すでに美
海はぐったりしていた。
「……乗り換えめんどくさい!人多すぎ
!なんで東京ってちっちゃいのにこんな
移動に疲れるのよ!」
プンプン怒って勝手にどっかに進んでく
から、このまま傍観してたらアイツ、迷
子になりそう。
なんて思いながら、遠ざかるその背中を
見つめていたら、こっちに気付いた美海
が俺の方に戻ってきて、ぐいっと腕を引
っ張った。
「なにつったってんのよ!」