トワイライト
「少し肌寒くなってきましたね。如月さんそろそろホテルに戻りましょうか?」
  と有は治子にそう声をかけつつ夕焼けの中、再び車椅子をゆっくりと押し始めた。




  今現在治子の体はすこぶるタチの悪いスキルス性の胃癌(がん)に侵されていたため、命のタイムリミットが日々迫っていた。だから治子はせめて自分が生きているうちに、有の記憶を元に戻してやりたいと思っていた。




  だから治子は有の記憶を戻す良い方法がないかと自分の主治医に相談してみた。すると主治医の話では電気ショックを与えて記憶を元に戻す『電気ショック療法』と言う方法があると言う事が解った。だからそれが可能だと解った時点で、治子は早速有に『電気ショック療法』を施(ほどこ)して貰う事にした。




「有さん、心の準備は良いかい?」
  とそう治子に聞かれた有は
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