幻影都市の亡霊
「お前は、父上やらヨミ殿やら……このコロテスお兄様に懐けよ。仕事さえ終われば存分遊んでやるから」
ラムは可笑しそうに笑うと、
「お兄様、違うでしょう、お兄様がわたくしと遊んでもらいたいんでしょう」
「む……」
コロテスは苦笑した。二人の母親はすでにこの世の人ではない。だからか、コロテスはこの妹をとても気にかけていた。何せ父親はこの世界の王たる人だ。そんなにまめには近くにはいられない。守れるのは、自分だけだと、そうコロテスは思っていた。
「ねぇ、お兄様?」
ラムは居間のソファに腰掛けながら兄を向いた。コロテスもそのまま隣に座った。
「……どうして、お父様あんなに辛そうなんでしょう」
「辛そう?」
コロテスは首をかしげた。
「ええ、今日会ったら……凄く辛そうでしたの。身を引き裂かれそうな顔をしていらしたのよ」
「本当か?」
「ええ」
コロテスはしばらく考えると、
「ヨミ様、新しい王を導きに行ったのでしょう?しかも、その方は人間なのでしょう? どんな方なのでしょう」
「さぁな……。会ってみないとわからないさ」
「素敵な方だと、よろしいですわ」
ラムは、そう思っていた。現在、ウィンレオの次に幻界でもっとも器が大きいと言われていたのは、彼女の兄だった。確かに器の大きさは血縁には由来しない。亡霊達の場合、血縁ではなく精神に影響される部分が大きかった。コロテスはそういった点で、両親に似ていたのだ。だが人間は、一概には言えないが血に大きく影響されるらしい。それらはやはり、人間と亡霊の違いなのだろう。
「お兄様よりも大きな器を持っていらっしゃる――」
ラムは、先ほどウィンレオにはああ言ったものの、父親には早く幸せになってもらいたかった。
ラムは可笑しそうに笑うと、
「お兄様、違うでしょう、お兄様がわたくしと遊んでもらいたいんでしょう」
「む……」
コロテスは苦笑した。二人の母親はすでにこの世の人ではない。だからか、コロテスはこの妹をとても気にかけていた。何せ父親はこの世界の王たる人だ。そんなにまめには近くにはいられない。守れるのは、自分だけだと、そうコロテスは思っていた。
「ねぇ、お兄様?」
ラムは居間のソファに腰掛けながら兄を向いた。コロテスもそのまま隣に座った。
「……どうして、お父様あんなに辛そうなんでしょう」
「辛そう?」
コロテスは首をかしげた。
「ええ、今日会ったら……凄く辛そうでしたの。身を引き裂かれそうな顔をしていらしたのよ」
「本当か?」
「ええ」
コロテスはしばらく考えると、
「ヨミ様、新しい王を導きに行ったのでしょう?しかも、その方は人間なのでしょう? どんな方なのでしょう」
「さぁな……。会ってみないとわからないさ」
「素敵な方だと、よろしいですわ」
ラムは、そう思っていた。現在、ウィンレオの次に幻界でもっとも器が大きいと言われていたのは、彼女の兄だった。確かに器の大きさは血縁には由来しない。亡霊達の場合、血縁ではなく精神に影響される部分が大きかった。コロテスはそういった点で、両親に似ていたのだ。だが人間は、一概には言えないが血に大きく影響されるらしい。それらはやはり、人間と亡霊の違いなのだろう。
「お兄様よりも大きな器を持っていらっしゃる――」
ラムは、先ほどウィンレオにはああ言ったものの、父親には早く幸せになってもらいたかった。