幻影都市の亡霊
「お母様が、望んだことです。お兄様、わたくし早くその『時』が来ると良いと思ってますの。本当は、お兄様が次に王様になるんだと思っていましたわ。わたくし、そうだったら良いなと思っていました。そうすれば時がくればすぐに、お父様は幸せになれました。だけど、新しい王という方は人間にいると言うではないですか。それでは……時間がかかってしまうのでは……」
淋しそうにうつむいたラムの肩を、コロテスは抱いた。
「ラム、母上の願い、俺も早く叶うといいと思っている。だが、まだ時間がかかるかもしれない。そうしたら、俺達が父上を支えてあげればいい。俺達が及ばないまでも、少しでも父上に幸せだと感じさせてあげればいい。俺達は、あの方の子供だ。それだけしか、いやそれができるのは俺達なんだよ」
ラムは顔を上げて兄を見ると、
「はい」
笑顔で肯いた。
そのままラムはおやすみのあいさつをすると、自分の部屋へと入って行った。それを見送っても、コロテスはしばらくその場に留まっていた。
「……母上の望んだ父上の幸せ――俺にそれができればよかったのに……っ」
コロテスはうつむいた。
「俺は、両親を幸せにすらできないのだろうか……」
淋しそうにうつむいたラムの肩を、コロテスは抱いた。
「ラム、母上の願い、俺も早く叶うといいと思っている。だが、まだ時間がかかるかもしれない。そうしたら、俺達が父上を支えてあげればいい。俺達が及ばないまでも、少しでも父上に幸せだと感じさせてあげればいい。俺達は、あの方の子供だ。それだけしか、いやそれができるのは俺達なんだよ」
ラムは顔を上げて兄を見ると、
「はい」
笑顔で肯いた。
そのままラムはおやすみのあいさつをすると、自分の部屋へと入って行った。それを見送っても、コロテスはしばらくその場に留まっていた。
「……母上の望んだ父上の幸せ――俺にそれができればよかったのに……っ」
コロテスはうつむいた。
「俺は、両親を幸せにすらできないのだろうか……」