幻影都市の亡霊
「ごめんなさい、ごめんなさい、ヨミ……私貴方と結婚できなくなってしまった……っ」
「謝らなくていい! なんで謝るんだ? ハルミナ、心配するな! 俺は……」
「私は、ここで時間が止まってしまうのよ、ヨミ……」
ハルミナは、すっとヨミから離れた。そして手探りでヨミの顔に触れる。
「私、貴方の全てが好き。でも、私の時はここで終わってしまって、止まってしまうの。そして、貴方は私の知らない時を生きる……私は置いていかれてしまうのよ、ヨミ」
「ハルミナ……」
ハルミナはうつむき加減の笑顔で首を横に振った。
「私はここで置いていかれて、貴方はいずれ誰か他の人を愛して、家庭をつくって……そこには私の知らない貴方がいるの。……どうして……どうして私……幸せになれるって思ってたのに……」
彼女を失う恐怖に、ヨミは何も言えなかった。何が言えようか。何を言って、何が変わろうか――。
「ごめんね……私とても幸せになりたかった……。でも、私は今までで充分、幸せだったから……ごめんね、ヨミ。次に会うときにはもう、私何も言えないかもしれないから言うね? 幸せよ、有難う――愛してるわ、ヨミ……さようなら」
ハルミナがヨミの顔を引き寄せる。
ヨミはそのままハルミナに口づけた。
流れ出る涙に気づかれないように、ヨミはハルミナを抱きしめた。
ずっと、ずっと抱きしめた。
そのまま、二人は別れた。それは、最期の時となってしまった。
ヨミは、突然に不治の病に侵されて婚約者を失ってしまった。
「謝らなくていい! なんで謝るんだ? ハルミナ、心配するな! 俺は……」
「私は、ここで時間が止まってしまうのよ、ヨミ……」
ハルミナは、すっとヨミから離れた。そして手探りでヨミの顔に触れる。
「私、貴方の全てが好き。でも、私の時はここで終わってしまって、止まってしまうの。そして、貴方は私の知らない時を生きる……私は置いていかれてしまうのよ、ヨミ」
「ハルミナ……」
ハルミナはうつむき加減の笑顔で首を横に振った。
「私はここで置いていかれて、貴方はいずれ誰か他の人を愛して、家庭をつくって……そこには私の知らない貴方がいるの。……どうして……どうして私……幸せになれるって思ってたのに……」
彼女を失う恐怖に、ヨミは何も言えなかった。何が言えようか。何を言って、何が変わろうか――。
「ごめんね……私とても幸せになりたかった……。でも、私は今までで充分、幸せだったから……ごめんね、ヨミ。次に会うときにはもう、私何も言えないかもしれないから言うね? 幸せよ、有難う――愛してるわ、ヨミ……さようなら」
ハルミナがヨミの顔を引き寄せる。
ヨミはそのままハルミナに口づけた。
流れ出る涙に気づかれないように、ヨミはハルミナを抱きしめた。
ずっと、ずっと抱きしめた。
そのまま、二人は別れた。それは、最期の時となってしまった。
ヨミは、突然に不治の病に侵されて婚約者を失ってしまった。