散華の麗人
そして、雅之は刀を構える。
「貴様が引き金を引く前に、切り込む。それができる距離に居ること……夢々忘れるな。」
「あんたが死ぬほうが早いと思うがな。」
お互い、笑む。
「……わしはな、病を患っとる。」
その言葉に雅之は動きを止めた。
「治る見込みもない。このことは、わしが口止めをしとる、離れの医者しか知らん。」
「ほぅ。」
「あんたに、わしの影武者をして欲しい。」
一正は真っ直ぐに見る。
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